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第26回

翌日、井浦は学校を自主退学した、と聞いた。

間違い無く自分のせいだろう。

この一連の事についてTOKIは語る。

「彼には謝っても許される事のない事をしてしまったと思います。もし彼と会えるなら自分の身体も同じように痛めつけて欲しいです。無論、そんな事で償えると思っていませんが…過去には戻れない。 中学時代に私も殴られて恐怖に縛られた事が過去にあります。全くもって大変おこがましく、大変に僭越な話ですが、私と彼との出来事によって私が培ったものを、暴力によるトラウマを抱えている人、暴力によって悩む人の未来に役立たせてもらいたいという思いです。私には「彼に対する償い」という事に対して出来る事はそれしか思い付かない。そういった事に囚われている方々に私の身をもって役立たせて頂ければと、ずっと思いながら生きて来ています。でなければ、あまりにも彼が報われない。私がした取り返しのつかない事に報いる為に日々、あの事に対する贖罪の念を抱いています。」

C4の1st Album「Cyclotron4」発売時のインストアイベント。

イベントの内容は参加者の人生相談にTOKIが答えるという企画。

事前に募った相談の中に”学生時代の頃のイジメによるトラウマがある”という匿名の相談にTOKIは、その相談者が誰なのかという事は相談者の心情を考慮し控えた為に、その場にいた参加者の男性全員に自分を殴らせるという事に打って出た。

「殴る側の心情」というモノを知ってもらう為にTOKIは100発以上のパンチを避ける事無く一身に受けていた。

質問者の心を救うという思いからの行動だったのだろうが、先のTOKIの言葉通り、自分の暴力によって学校を退学した井浦に対する償いの気持ちも兼ねていたのではないだろうか。

15歳とは言え、TOKIのした事は許されるものではない。

しかし、犯した過ちに対して真正面から向き合って出来る限りの誠意を尽くす。

「自らの言葉に責任を持ち、それを体現する」

これほど責任感の強い男を私は未だ見た事はない。

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