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第61回

「この子は私です。私もこれから障害者としての人生を歩いていきます。いや、今度の治療の結果によっては、そんな道ですら歩けないかもしれない。もう一度、言います。貴方の娘は私です。貴方の不注意で、一人の人間の人生が普通のモノとは大きく掛け離れたモノになってしまいました。貴方は、今以上に、もっともっと、更なる愛を以って娘さんに接してあげて下さい。貴方が死ぬまで一生です。それを命に代えて約束してくれるのなら、僕は貴方の不利になるような事は一切しないと約束しましょう」

無言の結城。

「約束出来ないんですか?」
「…いえ、でも、それじゃ」
「僕の事は、もう忘れて下さい。私も貴方の事は忘れます。この身体も全部、自分一人が招いた事と思って、この運命と闘って生きていきます」

声を出して泣き崩れる結城。

TOKI自身も泣けた。

自分の人生があまりにも可愛そうだった。

これからは全部一人で背負い込んで生きていかなければならない。

「さ、もうイイです。今までありがとうございました。娘さんを必ず支えてあげて下さい。それだけは絶対に約束して下さいね?」
「必ず!必ず!守ります!」
「さよなら。じゃ、お元気で」
「は、はい…失礼します!この事は一生忘れません」
「僕の決心が変わらない内に、ホラ、さぁ、娘さんが帰りを待ってますよ?」
「わ、わかりました!それでは」

何回も何回も頭を下げて、結城は病室を後にした。

病室の天井を見上げるTOKI。

自分の報われなさに、ただただ泣けた。

(今夜から、誰のせいでもない。何のせいでもない。全部、自分が悪いんだ。全部、全部。何もかも自分が悪いんだ。誰も恨まない。何も恨まない。全部、自分が悪いんだ)

自らを暗示に掛ける様に脳内で何回も何回も自分に言い聞かせた。

どうせ死ぬかもしれないのなら、誰かを恨んだ人生より、誰かを許した人生でありたい。

一人きりの病室でTOKIは自分の運命に言い聞かせた。 

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