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第76回

「ねぇ?バイト先を変えようと思うんだけど?」

TOKIの部屋で静江が唐突に言った。

「え?何で?今のバイト先で何かあったの?」
「ううん、そうじゃないけど、ホラ、アタシって家の近所でしかバイトした事ないじゃない?そういう所じゃなくて、同世代の人が一杯いる所で働いてみたいな、と思って」

静江は地元の寂れた商店街の小さな蕎麦屋とか小さな寿司屋とかでしか働いた経験が無い。

故に、同世代の人間どころか気心の知れたオジサン、オバサンとしか接した事がない。

TOKIは正直、困惑したが、自分が彼女に割いてあげられる時間が無い以上、何も言う資格は無いと思った。

「う〜ん、正直、近所で働いていてくれた方が安心できるけど、静江ちゃんが、そうしたいのならイイんじゃない?」
「!?本当」
「うん、でも、どんな仕事にするのかは一応、相談とかしてね?」
「うん!するする!」

そんなやり取りから1週間ほど経った頃、静江の新たな仕事先が決まった。

その職場は繁華街にある、とある大型の飲食店だった。

従業員も、ほぼ同年代で占められていて静江の就労時間は夕方から夜の10時までとの事。

「ふ〜ん、夜遅いんだね。帰り道、大丈夫?」
「平気!平気!」

静江は、10代後半はTOKIの看病と補助。
20代になってからは近所で気軽にアルバイトをしながら平凡な日々を過ごしていた。

そんな静江が刺激に溢れた遊び方を知っている同年代の連中に囲まれたら、今までとは何か違う静江になってしまうのではないだろうか?

そんな一抹の不安が頭を過ぎったが、今の自分の状況では、こんなに喜んでいる静江に何も言えはしない。

(何も変わらなきゃイイんだけどな…)

相変わらずTOKIは日々をKill=slaydに没頭、常に陣頭指揮を執っていた。

そんな中、静江の心が段々に変化していく様をTOKIは敏感に感じ取る時間も余裕も出来ないまま、静江との別れが刻一刻と近づいているとは、露ほども感じ取る事は出来なかった。

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