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第80回

静江はクレジットカードの限度額まで買い物をし続け、月末の支払いでカード使用額の枠に余裕が出来たら、すぐさま、また買い物をしてしまう。

その現状を知った時は、さすがに静江に強く出た。

「なぁ、こんな事やってたらマズいぞ。もうちょっと我慢するようにしなきゃダメだよ」
「あぁもう、ウルサイ!放っといてよ!」
「放っとけるワケないじゃないか!」
「じゃあ、もう別れましょう!」
「何だそりゃ!お前、いい加減に目を覚ませよ!」
「もう、もう、私の幸せの邪魔をしないで!」
「幸せを思ってるから、こういう事を言うんだろ!」
「アンタに私の何が分かるって言うの!」
そう叫んだ後、静江はTOKIの家から出て行った。
(言い過ぎたかな?いや、でも、俺は間違っていない)

どうせ、いつもの喧嘩。
どうせ、また、いつも通り元通りになる。

TOKIは、そう思っていた。

しかし、それから3日経っても4日経っても、静江からの連絡は無い。

自分から携帯に電話を掛けても静江は出ない。

業を煮やしたTOKIは静江の働いている店で静江を待った。

だが、静江が現れる事は無く、TOKIはただただ呆然と静江を待った。

どうやっても、会うどころか連絡さえ取れない日が1週間以上続いた。
(しょうがない。最後の手段だ)

TOKIは静江の家の前で静江が帰宅する時間を見越して、静江の帰りを待った。

(そろそろ、返ってくる時間なんだけどな)

と思った瞬間、静江の姿を目に捉えた。

歩み寄るTOKIに立ち止まる静江。

TOKIから話しかけた。

「なぁ、一体、どういうつもりだよ!避けてんのは分かるけど、心配するじゃないか!」

無言の静江。
「何だよ!一体、どうしたんだよ!」
「別れるって言わなかったっけ?」
「はぁ?え?この前の時の事か?」
「そうよ、私は別れたいの」
「ちょ、ちょっと、何を言ってんだよ」
「お願い、もう二度と私の前に現れないで、電話も掛けないで。さようなら。」
「お、おい!」

TOKIが声を掛けても歩を止めようとしない静江。

胸を掴むTOKI。

「離して!」とTOKIの腕を振り払うと、静江は駆け足で自宅に入ってしまった。

静江の家は家族で住むアパートなので、これ以上、追いかければ静江の家族に迷惑が掛かる。

(別れる?え?別れる?俺と静江ちゃんが?…じゃ、俺は何の為に頑張ってきたんだ?)

TOKIは、ただただ呆然と路上に立ち尽くした。

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